僕は異動先で上司からパワハラを受けてメンタルヘルス不調となり3か月休職しました。
パワハラの内容は「過大な要求」「人間関係からの切り離し」「精神的な攻撃」。
会社には上司のパワハラが認識されておらず「僕が勝手に体調不良になった」と理解されていたため、復職後に社内通報窓口へ匿名告発しました。
パワハラ対策チームから部署全員にヒアリングなどの調査が入りましたが、結果は「パワハラと認定できない」というもの。
この失敗体験を基に社内のパワハラ対策チームからパワハラ認定されるケースを聞き出し 告発するときに大切な5つのポイントをまとめました。
社内窓口へ告発を検討している方はぜひ参考にしてください。
①客観的な証拠がすべて
ハラスメント・ハラスメントや逆ハラスメントという言葉をご存知でしょうか。
正当な指導に対して「その言動はハラスメントなので訴えますよ!」と逆に上司を脅すような行為をハラ・ハラや逆ハラと呼びます。
逆ハラスメントではないことを証明するためにも証拠が必要です。証拠が無ければ何もできません。客観性の高い証拠をいくつか準備する必要があります。
最も証拠能力が高いのは
- 録画
- 録音
の二つです。暴力の瞬間や暴言の音声データがあれば、加害者が否定したとしてもパワハラ認定が可能となります。
録画録音には劣りますが次の3つも証拠になります。
- 他人の証言
- 紙の日記
- 医師の診断書(上司の言動により体調不良となった旨の診断書)
他人の証言はある程度の客観性があります。しかし被害者と結託して加害者を陥れようとしている可能性が排除できないので参考程度になります。
ただし部署全員が同じ証言をしているような場合は強力な武器になります。
紙の日記にいつ、どこで、誰に、何をされたかを記録し続けたものも証拠となります。裁判でも証拠として採用されていますよね。
気を付けたいのがスマホやPCに記録をしているケースです。
スマホのメモ機能、メールの下書きなどはいつでも編集ができるため客観性に劣ります。
あとから編集しないように注意して毎日別のファイルに保存しましょう。
医師の診断書も証拠にはなりますが、精神科医や心療内科医は患者の主張をもとに診断書を書きますので証拠としてはやや弱いです。
そしてパワハラ加害者を確実に仕留めるためには自分が苦しんでいることを相談し、改善を要求したが、何ら対応してくれなったという証拠を作ることでが重要です。
スマホのボイスレコーダーを起動させて加害者に改善するよう伝えます。記録に残るメールやチャットも良いでしょう。
加害者への処分を重くするためには改善を要求したにも関わらずその後もパワハラが続いたという事実が必要です。
②絶対に嘘をつかない
告発内容を脚色したり、過度に誇張することは絶対に避けてください。名誉棄損として警察が動く恐れがあります。
「上司は正当な指導したものの部下が逆恨みして告発した」ケースでは警察に相談することがあるそうです。
被害の詳細をしっかり伝えることは大切ですが、真実のみを話しましょう。
③目標を定める
告発するにあたって明確な目標を決めておく必要があります。なぜなら目標によって取るべき行動が変わるからです。
例えば加害者を不法行為で刑事告訴したり民事で損害賠償請求するのと、社内の人事異動で加害者を転勤させるのとでは全く行動が変わります。
僕は人事部から「上司にはどうなって欲しいか」「あなたはどうしたいか(このまま同じ部署で働くことは可能か)」を聞かれました。
僕は二度と同じ職場で上司と働きたくなかったため「非常に強い怒りの感情があること、近くに上司がいるとストレスで症状が悪化すること、主治医から異動を推奨されていること」を主張し、上司か自分の転勤を希望しました。
④守りを固めて模範的に過ごす
あなたがパワハラ告発をしようと決心してこの文章を読んでいるのであれば加害者への大きな怒りがあるはずです。ここで最も重要なポイントをお伝えします。
決して怒りに身を任せた言動をしてはいけません。
加害者へ嫌がらせをしたり殴ったりすることは論外ですが、やさぐれたり不真面目な勤務態度を取ることも避けてください。
勤務態度に難がある不真面目な社員と勤務態度が真面目でパワハラを受けても組織に貢献しようとしている社員のどちらが会社に守られるでしょうか?
僕は加害者のせいで人生最悪の地獄を見ました。正直に言えばこの手で物理的に反撃したいと思ったこともあります。
カウンセラーの助言を受け、頭の中で凄惨な想像をしてストレス発散をすることもあります(内容はここに書けるものではありません)。
それでも言葉や行動にしてはならないのです。グッとこらえて、守りを固めてください。
少なくとも相手の処分が確定するまではしっかりと働いているのにパワハラされた可哀そうな被害者であり続けてください。
⑤告発をする自分にもダメージがある
告発を考えている人は怒りや憎しみの感情をエネルギーとして行動を起こそうとしているのではないでしょうか。
知っておいて頂きたいのは告発や社内調査の過程で自分にも相当のダメージがあるということです。
あなたがメンタルヘルス不調になっている場合、ストレス体験を思い出すことで症状が再発・悪化するリスクがあります。
告発をするには自分が受けた被害を詳細に伝える必要があります。調査担当者から辛かった体験を何度も、深くヒアリングされます。
僕の場合は「その時どうして言い返さなかったんだ」などと批判されることもありました。
調査には1か月以上かかったため、その間は通常業務に加えて調査対応しなけれなりません。時間的にも精神的にも大きな負担になります。
また調査の結果、加害者に処分が下ればよいのですが、処分なしに終わることもあります。
処分なしの結果を伝えられた時の脱力感、悲しみはとても辛いものでした。
もし体調を崩している場合は①心身の回復②証拠の整理③告発実行の順番で進めてください。告発に必要な心身の体力がなければ再度体調を崩すことになりかねません。
僕の告発結果
僕は社内窓口へ通報しましたが録音録画などの決定的な証拠が無かったため上司にパワハラの処分は下りませんでした。
しかし被害者がもう1名いたことに加え、僕とその同僚の日記から「不適切な指導」だったことは認定されました。
告発直後から僕と同僚へのパワハラ行為は止まりました。そして体調の回復を待って上司とは違う勤務地になる見込みです。
訴訟や労災申請は専門家へ相談を
この体験談はあくまで社内通報窓口への告発です。
法律上のパワハラとして明確に認定されるような場合は弁護士などの社外の専門家へ相談することをお勧めします。
社内窓口は所詮、社内です。穏便に事態が収拾されるように力が働くことになります。
この文章を読んだ方の告発が上手くいくことを、そして大袈裟ですが社会からパワハラとその被害者が無くなることを祈っています。
社内窓口への匿名告発方法について
僕が調べて、考え、実行した匿名告発方法についての体験談をまとめました。
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